介護の重要性
認知症の介護は、長期間にわたり続くことが多いことから、日々の介護では、心身面の負担をできるだけ軽くし、うまく気分転換をすることがとても大切です。
周囲や他の家族の目を気にして、「介護は家族がするもの」と1人で背負い込んだり、自分の人生(生活)を犠牲にした家族だけでの介護は、絶対に避けるべきです。介護する人にとって良いことはありませんし、認知症の人にとっても、良い結果を生みません。
サービスを積極的に利用する
介護している人が、ギリギリまで我慢して疲れきってしまう前に、できるだけ、楽に介護をする工夫が必要です。
例えば、介護保険サービスの利用。介護保険制度を利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。まずは、市町村の介護保険担当課に認定を受けたいことを伝えて、申請の手続きをはじめましょう。
介護保険サービスには、ホームヘルパー、デイサービス、ショートステイなど、さまざまなサービスがあります。認知症の症状に応じて、複数のサービスを組み合わせての利用も可能です。(介護保険法にもとづく介護サービスを参照)
また、介護保険でのサービス以外にも、市町村が独自に実施しているサービス(GPSによる位置検索システム、緊急時の通報システム等)もあります。
在宅での生活が困難になった場合には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの施設入所もあります。サービスの利用は、本人にとっても貴重な社会との接点になるはずです。
詳しくは、市町村の担当窓口、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター等に相談してください。
サービスを積極的に利用することにより、介護する側は心身面の負担が軽減すると共に、リフレッシュする時間ができるはずです。介護者は、その時間を有効に活用して、ご自身の生活の質の向上や趣味・楽しみを考えてください。
また、介護のプロである職員から、さまざまな介護の方法・コツを教えてもらったり、困っていることに対して、個別のアドバイスを得ることもできるでしょう。
介護者自身の健康に気をつける
介護する人は、身体的・精神的な負担が大きく、それにより体調を崩してしまう場合があります。どうぞご自身の体調を大切にしてください。
体調を崩し、自分の健康が損なわれてしまったら、元も子もありません。認知症の人の生活にも大きな影響を与えることになります。長期的にわたる介護では、自分のペースを守りながら、ありのままの本人を受け入れ、心も体もゆとりをもった介護を行うことが大切です。
介護保険法にもとづく介護サービス
介護保険制度では、要介護認定を受け、原則としてケアマネジャーが作成するケアプランにもとづいてサービスを利用します。要介護認定ごとに保険給付対象の上限額が設定されており、上限額内であれば1割(一定以上の所得のある方は2割)が自己負担となります。
対象者 |
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•65歳以上の人(第1号被保険者) 寝たきりや認知症などになった原因を問わず、要介護認定を受けることで介護保険制度による介護サービスを利用することができます。 •40歳~64歳の人(第2号被保険者) 介護サービスを受けることができる人は、医療保険加入者で加齢による病気などが原因で介護・支援が必要となった人です。具体的には、あらかじめ定められた16種類の「特定疾病」(初老期における認知症、脳血管疾患など)に該当する人が対象です。 |
申請~利用までの主な手続き |
①要介護認定申請…市町村の介護保険担当課に本人または家族が申請します。居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)や地域包括支援センター等に申請を代行してもらうこともできます。 ②訪問調査…認定調査員が自宅や入院先を訪問し、本人の心身の状態・日常生活で支障があることなどを聞き取り調査します。 ※本人の前では言いにくいこと等があれば、別々に話を聞いて貰うように事前にお願いをすることも可能です。 ※日頃の困り事などをメモなどに整理しておくと良いでしょう。 ③結果通知…「訪問調査」と「主治医の意見」を基に、市町村の認定審査会にて要介護認定(要支援1~2、要介護1~5)が決定し通知されます。 ④ケアプランの作成…ケアマネジャーや地域包括支援センター等に依頼して、必要なサービスを組み合わせたケアプランを作成します。 ※ケアプラン作成費用には、自己負担がありません。 ⑤サービスの利用…サービス事業者と契約した上で利用します。 |
主なサービス内容
種別 | サービスの種類 |
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訪問サービス |
訪問介護(ホームヘルパー)、訪問型サービス(総合事業)、訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導 |
通所サービス | 通所介護(デイサービス)、通所型サービス(総合事業)、地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、通所リハビリテーション(デイケア)、小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護 |
短期入所サービス (ショートステイ) |
短期入所生活介護(福祉系ショートステイ) 短期入所療養介護(医療系ショートステイ) |
施設・居住系 サービス |
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(地域密着型特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護療養型医療施設(療養病床等)、介護医療院、特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム、軽費老人ホーム等)、地域密着型特定施設入居者生活介護、認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム) |
その他 | 福祉用具貸与、福祉用具購入費の支給、住宅改修費の支給 |
- ほとんどのサービスは要支援でも利用できますが、一部、要介護でなければ利用できないサービスもあります。
- 利用料は原則としてサービス費用の1割又は2割負担ですが(ただし、平成30年8月以降については、一定所得以上の方は3割になります。)、自己負担が高額になると、高額介護サービス費、高額医療・高額医療合算介護サービス費制度などの負担軽減制度を利用できる場合があります。
- 利用料のほか、サービスにより食費・居住費・日常生活費などの実費負担があります。このうち食費・居住費には、所得等に応じて負担限度額が定められていて、軽減措置があります。
- 詳しくは、市町村の介護保険担当窓口、担当のケアマネジャー、地域包括支援センター、利用している施設等にご相談ください。