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第7回(平成30年度第2回)認知症リンクワーカーフォローアップ研修・連絡会を開催しました
2018年10月25日
第7回認知症リンクワーカーフォローアップ研修・連絡会を開催しましたので、概要をお知らせします。
1 日 時 平成30年10月25日(木) 午後2時15分~午後5時15分
2 場 所 京都府医師会館6階 601・602会議室
3 参加者 32名(リンクワーカー養成研修修了者:27名、市町村職員:5名)
4 内 容 実践報告「認知症リンクワーカー養成研修から学んだ実践」
報告者:社会福祉法人あしぎぬ福祉会 総務部 部長 藤原 りつ氏
講演「認知症の人の意思決定を支援する」
講師:京都府立医科大学大学院精神機能病態学 教授 成本 迅 氏
グループワーク「認知症の人の意思決定を支援するために」
進行:一般社団法人京都社会福祉士会会長 福富 昌城氏
アドバイザー:成本 迅 氏
5 グループワーク結果
テーマ:「認知症の人や家族に、今後認知機能が低下してくる時に備えて、事前に意向や好みを確認しているか」
※下記はグループで話し合った成功事例
<Aグループ>
・インテークの中で、自宅で倒れていた時等の緊急時の対応方法について確認するようにしており、その中で、今後の生活の話にも及ぶ。
・聞き取り項目はシート化しており、「医療延命同意、施設入所、経済状態、葬式、緊急時の対応(窓ガラスを割ってもよいか等)、葬式、居室片付け、ペット」に関する項目がある。
・すぐにシートが埋まることはないため、順次埋めていく。また、シートは3年間継続して聞き取れるようになっており、毎年各項目を確認する。
・シートは京都市向島地域包括支援センターが独自で作成しているもので、地域特性として独居高齢者が多いことから作成した。3年という期間は、3年でケアマネジャーに引き継ぐことが多いため。このシートにより、確認した本人家族の意向が次ぎへ引き継がれる。
→シリアスな項目の中にペットという一般的な項目が混ざっていることから、問いかけ全体が一般化され、聞き取りやすくなっていると感じる(成本先生)
<Bグループ>
・独居の方の話を聞く際に、亡くなった後の埋葬の話など、自宅内では聞きにくいことでも、受診に付き合った際の移動時のバス停や診察の待ち時間に聞くと聞きやすい。
→医師として、病院の診察室では聞けない話でも家族の会が行っている若年のつどいでは聞き取れることもあり、場の力は強いと感じている。(成本先生)
<Cグループ>
・大きな家に住む90代で独居の方にケアマネジャーが訪問した際に、「いつまで生きられるか」という話の中で「100歳まで生きたい」「100歳までなら掃除も大変ですね」「先は有料老人ホームに入りたい」と、自然な会話の流れの中で意向を聞き取った。
・また、その意向をケアプランに落とし込み、担当が代わっても引き継がれるように意識した。
→本人の思いを理解することが大切。「100歳」という一つの区切りを使ってイメージを喚起することは有効。(成本先生)
→一般化という話が出たが、「100歳になった時どう生きたいか」ということを必ず聞く、というルールをその事業所で決めるということも一つの方法。(福富先生)
<Dグループ>
・認知症カフェに参加することは自分が認知症だと認めることになるため、本音を聞き出すことが難しいと感じることがある。常にアンテナを張って関わり、認知症カフェ以外の日に話された本音を拾っている。
・診察後の看護相談で、10のアイメッセージが叶えられているか定期的に尋ねている。趣味や思いを聞くことになるため、抵抗なく答えてもらうことができる。
<Eグループ>
・80歳代女性について、各種支払いが滞り周囲の方が困っておられる場面で関係者を集めて地域ケア会議を行い、本人の自宅で暮らしたいという意向を確認した。
→「うちだけしんどいのか」という思いはストレスになるため、情報共有の場は有効。本人の思いに生活の質が伴わない場合どう折り合いをつけるかは課題。(成本先生)
<Fグループ>
・本人の意向を尊重することは難しいと感じており、意向を確認できないまま、地域ケア会議でも関係者や近隣住民の「施設入所してほしい」という意向で進んでしまうことがある。
→多様な意見があり、何が正しいかはっきりしない状況もある。このような時に「臨床倫理」4分割法で情報を整理すると意見の対立が収束することが多い。(成本先生)
(成本先生コメント)
・意思決定のあり方を話し合うことは新しい取組であり、現場で行われいている取組を共有することは大切。リンクワーカーの活動が広がり、6年後には成功事例やツールが共有されていることを願う。
6 参加者アンケート結果(抜粋)
<感想>
・その人の思いに寄り添うためには「専門職を脱する」とういう言葉が一番感動した。
・どのように認知症の方に寄り添うことができるのか、自分自身の幅が広がった思いがした。実践されているからこその数々のコメントが印象的だった。
・本人の意見とは反し、入所を決定する際に客観的に整理する方法について学ぶことができた。
・事前指示書を本人だけでなく、関係者みんなが作成することは、特別感がなくとてもいいと思った。
・外出するイベントを企画する際にどうしてもリスクを先に考えすぎて実現できないことがあると思うが、しっかりと支援者が抱える思いを実現しているところがすごいと思った。私たちの認知症カフェはデイサービスのレクリエーションの延長のような雰囲気になっているため、カフェの内容を見直す時期にきている。
・個別ケア会議を開催する予定だが、福富先生がおっしゃられた「本人の意向をどう伝えるか?」という点を心に留めて会議を開きたい。
<明日からでも実践できること>
・「10のアイメッセージ」を使いながら認知症の方の言葉を聴いておられたこと。
・地域包括支援センターオリジナルのシートを作成し、アセスメント時に使いたい。
・臨床倫理の4分割シートを活用してみたい
1 日 時 平成30年10月25日(木) 午後2時15分~午後5時15分
2 場 所 京都府医師会館6階 601・602会議室
3 参加者 32名(リンクワーカー養成研修修了者:27名、市町村職員:5名)
4 内 容 実践報告「認知症リンクワーカー養成研修から学んだ実践」
報告者:社会福祉法人あしぎぬ福祉会 総務部 部長 藤原 りつ氏
講演「認知症の人の意思決定を支援する」
講師:京都府立医科大学大学院精神機能病態学 教授 成本 迅 氏
グループワーク「認知症の人の意思決定を支援するために」
進行:一般社団法人京都社会福祉士会会長 福富 昌城氏
アドバイザー:成本 迅 氏
5 グループワーク結果
テーマ:「認知症の人や家族に、今後認知機能が低下してくる時に備えて、事前に意向や好みを確認しているか」
※下記はグループで話し合った成功事例
<Aグループ>
・インテークの中で、自宅で倒れていた時等の緊急時の対応方法について確認するようにしており、その中で、今後の生活の話にも及ぶ。
・聞き取り項目はシート化しており、「医療延命同意、施設入所、経済状態、葬式、緊急時の対応(窓ガラスを割ってもよいか等)、葬式、居室片付け、ペット」に関する項目がある。
・すぐにシートが埋まることはないため、順次埋めていく。また、シートは3年間継続して聞き取れるようになっており、毎年各項目を確認する。
・シートは京都市向島地域包括支援センターが独自で作成しているもので、地域特性として独居高齢者が多いことから作成した。3年という期間は、3年でケアマネジャーに引き継ぐことが多いため。このシートにより、確認した本人家族の意向が次ぎへ引き継がれる。
→シリアスな項目の中にペットという一般的な項目が混ざっていることから、問いかけ全体が一般化され、聞き取りやすくなっていると感じる(成本先生)
<Bグループ>
・独居の方の話を聞く際に、亡くなった後の埋葬の話など、自宅内では聞きにくいことでも、受診に付き合った際の移動時のバス停や診察の待ち時間に聞くと聞きやすい。
→医師として、病院の診察室では聞けない話でも家族の会が行っている若年のつどいでは聞き取れることもあり、場の力は強いと感じている。(成本先生)
<Cグループ>
・大きな家に住む90代で独居の方にケアマネジャーが訪問した際に、「いつまで生きられるか」という話の中で「100歳まで生きたい」「100歳までなら掃除も大変ですね」「先は有料老人ホームに入りたい」と、自然な会話の流れの中で意向を聞き取った。
・また、その意向をケアプランに落とし込み、担当が代わっても引き継がれるように意識した。
→本人の思いを理解することが大切。「100歳」という一つの区切りを使ってイメージを喚起することは有効。(成本先生)
→一般化という話が出たが、「100歳になった時どう生きたいか」ということを必ず聞く、というルールをその事業所で決めるということも一つの方法。(福富先生)
<Dグループ>
・認知症カフェに参加することは自分が認知症だと認めることになるため、本音を聞き出すことが難しいと感じることがある。常にアンテナを張って関わり、認知症カフェ以外の日に話された本音を拾っている。
・診察後の看護相談で、10のアイメッセージが叶えられているか定期的に尋ねている。趣味や思いを聞くことになるため、抵抗なく答えてもらうことができる。
<Eグループ>
・80歳代女性について、各種支払いが滞り周囲の方が困っておられる場面で関係者を集めて地域ケア会議を行い、本人の自宅で暮らしたいという意向を確認した。
→「うちだけしんどいのか」という思いはストレスになるため、情報共有の場は有効。本人の思いに生活の質が伴わない場合どう折り合いをつけるかは課題。(成本先生)
<Fグループ>
・本人の意向を尊重することは難しいと感じており、意向を確認できないまま、地域ケア会議でも関係者や近隣住民の「施設入所してほしい」という意向で進んでしまうことがある。
→多様な意見があり、何が正しいかはっきりしない状況もある。このような時に「臨床倫理」4分割法で情報を整理すると意見の対立が収束することが多い。(成本先生)
(成本先生コメント)
・意思決定のあり方を話し合うことは新しい取組であり、現場で行われいている取組を共有することは大切。リンクワーカーの活動が広がり、6年後には成功事例やツールが共有されていることを願う。
6 参加者アンケート結果(抜粋)
<感想>
・その人の思いに寄り添うためには「専門職を脱する」とういう言葉が一番感動した。
・どのように認知症の方に寄り添うことができるのか、自分自身の幅が広がった思いがした。実践されているからこその数々のコメントが印象的だった。
・本人の意見とは反し、入所を決定する際に客観的に整理する方法について学ぶことができた。
・事前指示書を本人だけでなく、関係者みんなが作成することは、特別感がなくとてもいいと思った。
・外出するイベントを企画する際にどうしてもリスクを先に考えすぎて実現できないことがあると思うが、しっかりと支援者が抱える思いを実現しているところがすごいと思った。私たちの認知症カフェはデイサービスのレクリエーションの延長のような雰囲気になっているため、カフェの内容を見直す時期にきている。
・個別ケア会議を開催する予定だが、福富先生がおっしゃられた「本人の意向をどう伝えるか?」という点を心に留めて会議を開きたい。
<明日からでも実践できること>
・「10のアイメッセージ」を使いながら認知症の方の言葉を聴いておられたこと。
・地域包括支援センターオリジナルのシートを作成し、アセスメント時に使いたい。
・臨床倫理の4分割シートを活用してみたい